RSS | ATOM | SEARCH
「慰安婦」問題と日韓関係
 「慰安婦」問題はずっと気になっていました。
 「アジア女性基金」が設立され「償い金」が支払われることに対して、それでは国としての責任を果たすことにならないという強硬な反対が日本、韓国の双方にありました。それがどのような意味なのかと理解できずにいたからです。

 やっと読み終わった『帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の戦い』(朴裕河 朝日新聞出版)。このような内容の本を書いた著者の朴氏に敬意を表したいというのが読後の一番の感想でした。こんがらがった毛糸の玉がほどけるように標記の疑問が解けました。朴氏はていねいにていねいに事実を積み上げ、日本軍の「強制連行」という単純化を否定しつつ、植民地支配したことで引き起こされた局面を暴いています。
「慰安婦問題で日本での補償と謝罪は必要であっても、それを問うための法自体が存在しない事実を見過ごすことはできません。もちろんこれは、近代国家のシステム自体が男性中心で、その男性の視線を内面化した売春差別意識を抱え込んでいたからです。言い替えれば、軍人は法律で守りましたが、慰安婦にはお金のみを与えて済ませる構造とも言えます。
 したがって、日本に対し「法的責任」を問いたくても、その根拠となる「法」自体が存在しないというのが私の考えです。」
と、「あとがきに代えて」に書いています。

 この考え方に立てば、国家責任として謝罪と補償ができず「アジア女性基金」が設立され、民間と言いつつ国が大きく関与したあいまいさが説明できます。
 「アジア女性基金」が創られる以前に、日本政府は慰安婦問題に関して日本軍の関与を認め、次のような「河野談話」が表せられています。朴氏がこの著作で指摘していることは、「河野談話」に先立つ調査で日本政府はおおよその実態を把握していたのではないかと言っています。

「今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接加担したことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島はわが国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を長く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。」

 慰安婦問題を巡って、日本、韓国双方の国民が歴史的経緯と一つにはくくれないそれぞれのケースを知らないままに政治、政局にからみとられ、見る目を曇らされていることが何とも悲しい。それが二つ目の感想です。


(こだま舎 舎長 山崎久民)
author:こだま舎, category:-, 10:39
comments(1), trackbacks(0), pookmark
スポンサーサイト
author:スポンサードリンク, category:-, 10:39
-, -, pookmark
Comment
日本の食と農のブログに、こういったテーマの記事を書くというのはどおかと思います。
在日韓国人の反日団体だからというのであれば、納得できますが。
日本の食と農を応援する者, 2015/04/24 5:12 PM









Trackback
url: http://kodamasha.jugem.jp/trackback/1646